社員ゼロ、たった一人で開業 笑っている父親(7)


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 具体的な起業のあてがないまま大手シンクタンクを退社した金柿秀幸さん(44)は、半年余り子育てに専念した後、2001年10月に「ゴールデン・サン」という名の会社を設立した。社名は、自分の名字と長女の名前から決めた。ユーザー参加型の絵本の情報サイトを運営する会社だ。社員もいない、たった一人での船出だったが、今では社長以下27人の態勢となり、資本金も2億200万円になっている。創業4年目、社名を、取引先やユーザーに定着していたサイト名と同じ「絵本ナビ」に変更した。

<笑っている父親(6)はこちら>

    *    *

<「絵本ナビ」というサイトをオープンしたは02年4月。それまでに、15ぐらいの新規事業のアイデアを検討した。>

 上司に退社を伝えてから辞めるまでの2カ月間は、仕事に追われました。最初から妻と一緒に子育てをするつもりだったのに、連日、深夜の帰宅で、家事・育児の分担どころではありません。妻の母親が来てくれていたので大丈夫だろうと思っていましたが、妻からは「一番大変だった時期に、あなたはいなかったわね」と、今でも言われます。

 起業について、当然のことながら妻は不安を感じていました。辞める前にヘッドハントの会社の人に会って、転職した場合の自分の価値を調べたところ、大幅に給料の上がる案件が3社提示されました。その話をして、「もし事業に失敗しても就職すれば、何とかやっていける」と説得したところ、「娘が幼稚園に入るころまでに、父親として恥ずかしくない状態になっていてね」と、条件付きで賛成してくれました。事業については、ベンチャーとしての強みについて考え、インターネットを活用した事業に絞り込みました。ある分野で死にものぐるいで頑張れば、その分野で一番になれる可能性はあると思い、いろいろ考えましたが、儲かりそうかどうかで考えたアイデアは、全部だめでした。

 「絵本ナビ」を思いついたのは、生後2カ月の娘に絵本を読んで聞かせたところ笑ってくれたような気がしたのが、きっかけです。また笑顔をみたくて、新たな絵本を手に入れようと本屋や図書館を訪ねましたが、あまりに多くの作品がある中からどれを選べばいいのか、途方に暮れたのです。絵本の情報をどのように入手しているかを、妻のママ友に尋ねたところ、答えは「口コミ」でした。ママ友10人に、お薦めの絵本を5冊ずつ挙げてもらったところ、「ぐりとぐら」が共通していた以外は、みんな違いました。こうした情報をネットで共有したらどうだろう、とママ友に聞いたところ、そんなサイトがあったらとても役に立つし、ママたちは喜んで使うよ、と盛り上がりました。

<東京・国立市内の木造アパートの一室に本社を置き、広告収入と本の販売を柱に、サイト運営を始めた。>

 子育てに追われて時間がない中、じっくり絵本を選ぶことも、小さな子どもを連れて本屋で探すことも容易なことではありません。絵本選びが、「苦労」から「楽しみ」に変わるようなサイトを目指しました。少しでも作品について判断ができるよう、プロの紹介文や読者の声、中面の画像を載せたりと、情報を増やしていきました。

 サイトのユーザーは着実に増えましたが、広告はまったく集まりません。出版業界はネットに広告を出していなかったのです。本を仕入れるには、出版社と書店をつなぐ流通業者の「取次」に口座を開かなくてはなりませんが、それも簡単ではありません。仕方なく、「はらぺこあおむし」といった絵本のキャラクターグッズの物販を始めました。初年度の売り上げはほとんどゼロ、2年目もほんのわずかでしたが、絵本ナビの利用者はどんどん増えていました。ネット書店に注文を誘導して販売報酬をもらうアフィリエイトを使って販売のニーズがあることを証明し、04年にようやく、取次と契約を結ぶことができました。

<10年8月からは、絵本1作品につき1度だけ、すべて読める「全ページ試し読み」を始めた。>

 町の本屋でできるように、ネットでも全ページ試し読みできる機能をつけることは、創業時から考えていました。でも当時は、ネットに表紙画像を載せるだけで関係者との調整が必要な時代で、試し読みなど無理でした。一般書籍はパソコンで全ページ読めると売れなくなる恐れもあるでしょうが、絵本に限っては、読めた方が買ってもらえる、と私は思っていました。

 ユーザー数も売り上げもサイト開設当初から比べものにならないくらい増えていたので、取引のある出版社にテスト企画実施の協力を依頼してみました。企画に賛同してくれた31作品について、「ためしよみボタン」をクリックして1回だけ全ページ読めるようにしたところ、平均すると、それ以前の4倍の売れ行きになり、13倍も売れた絵本もありました。このデータと、サイト利用者から寄せられた「全ページためしよみ」を支持するメッセージ約1000通をもとに出版社を説得して回り、今では900冊以上が「全ページ試し読み」の対象になっています。

 10年9月からはネット書店の「楽天ブックス」に、作品解説や、ユーザーから寄せられた感想・読書体験などの「みんなの声」を提供しています。「楽天ブックス」という総合書店のもつ顧客と販売機能に、専門業者である「絵本ナビ」のコンテンツやノウハウを加えることで、顧客満足度と収益を高め、それをシェアしようという狙いです。

 弊社は、良い作品の魅力を伝えることに注力していますが、その成果をより多くの人に利用していただき、結果として絵本を楽しむ人が増え、絵本市場と子育ての活性化につながれば、と思っています。

 (「笑っている父親」の「金柿秀幸さん」は3回のシリーズです。次回は8月27日に配信を予定しています。)

この記事は朝日新聞より引用しています。

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